新型出生前診断(NIPT)は妊婦さんの血液検査による「non-invasive prenatal genetic test(無侵襲的出生前遺伝学的検査)」です。まずはこれまでの出生前検査との違いをみてみましょう。
絨毛検査は、超音波画像のガイドのもと、妊婦さんのお腹に針を刺して絨毛細胞を採取し、染色体の形と数の変化を確認する検査です。検体採取から結果報告まで2~3週間かかります。約100人に1人の割合で流産や赤ちゃんが死亡する可能性があります。
超音波画像のガイドのもと、妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取し、その中の赤ちゃん由来の細胞を培養して染色体の形と数の変化を確認する検査です。約300人に1人の割合で流産や赤ちゃんが死亡する可能性があります。
NIPT検査は妊婦さんの腕から10ml採血するだけの安全な検査です。お母さんの血液中には胎盤を通して赤ちゃんの DNA が10%程度混ざっています。母さんから血液を採血し、DNAの断片を分析することで赤ちゃんに染色体疾患があるかどうかを検出します。分離した胎児の染色体を検査します。
検査項目は3項目です。
・13トリソミー(パトウ症候群);出生児の5000-12000人に1人
・18トリソミー(エドワーズ症候群);3500-8500人に1人
・21トリソミー(ダウン症候群);年齢により頻度は異なります。
検査に年齢制限はありません。妊娠10週0日から検査可能です。
当院への医師からの紹介状は必要ありません。直接お申し込みください。
検査は完全予約制です。
認定遺伝カウンセラーによる検査前遺伝カウンセリングを受けていただきます。ご来院いただく対面でも、オンラインで可能です。カウンセリングは8週0日から可能となります。
NIPT検査は任意の検査となります。検査内容を理解いただきました上で検査を受けていただきます。
DNAは、デオキシリボ核酸の略称で、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基からなった2重らせん構造をしています。これが糸状になり、折りたたまれ凝縮したものが、染色体としてそれぞれの細胞の核の中に収納されています。
タンパク質の生成に関わる情報をもっているDNAを遺伝子と呼びます。ヒトは、約25,000個の遺伝子をもっていると言われています。
染色体異常の多くは卵子の染色体異数性によります。卵子の機能低下が原因と言われています。46本の染色体をもつ体細胞が減数分裂をして23本の生殖細胞2つに分離する時、誤って不分離が生じ、1本多い24本の染色体と、1本少ない22本の染色体数の生殖細胞になることがあります。ダウン症を例にあげると、46本の染色体をもつ卵母細胞が減数分裂して、23本の染色体をもつ卵子細胞2つになるときに、不分離が生じ24本の染色体と22本の染色体の卵子ができることがあります。染色体が1本多い24本の染色体の卵子と、正常な23本染色体の精子が受精した場合、受精卵の染色体数は47本になります。この現象が21番目の染色体で生じると21番目の染色体数が3本の21トリソミー、即ちダウン症になります。